vol.3 川島蓉子さんが聞きにいきました。
石を暮らしに身近に「STONE PALETTE」
- 石を生活空間に取り入れる商品
前回、前々回と二度にわたり、石という素材は、暮らしと離れた存在でなく身近にあることを、石博士のような日比さんからうかがってきました。
それを聞いて石に興味が湧くとともに、関ヶ原石材はどんな仕事をしているのかを、もっと知りたくなって聞いたところ、最近、一般消費者に向けた新しい商品も開発しているというのです。さてそれは、どんな商品なのでしょう――“石の魅力をもっと伝えたい、石をふだんの暮らしに取り入れたらどんな空間になるだろう”という思いを込め、「ストーンパレット」と名づけられたもの。
あらかじめ揃えられている何種類かの石から、表面加工も含めて選ぶことができ、しかも施工屋さんが簡単に取り付けられるのも、手軽さにつながっています。物凄く簡単に言うと、石のパーツをタイルのように組み合わせた商品で、壁一面を覆う使い方だけでなく、パーツとして使うこともできるのです。
- ライフスタイルショップ「タイム&スタイル」で行った展示会
カタログを見せてもらったところ、簡単な額装をして絵のように飾るパターンや、腰から下の壁に部分的に貼るパターンもあって「これならわが家もやれそう」と、ちょっと夢が広がりました。住まいの中で、木や布といった素材は当たり前のように使ってきたのですが、日比さんの話から、石にもそういう可能性があると感じたのです。
「知らない方に、もっと石の良さを知って欲しいと思ったのです」と日比さん。カタログだけ見ていると、簡単な造りに見えるのですが、たくさんの工夫を盛り込み、手軽・気軽に取り入れてもらうことを意図したといいます。
そして、この「ストーンパレット」、去る7月7日から18日まで、「東京ミッドタウン」のライフスタイルショップ「タイム&スタイル」で、お披露目の展示会の行ったのです。訪れてみたのですが、ショップの入り口にあるギャラリースペースで、家具と「ストーンパレット」を組み合わせたシーンは印象的なものでした。
- 石がもたらす空間の豊かさ
2つのパターンがあって、ひとつはローチェストの上部の壁に、絵画のように額装した「ストーンパレット」を掛けたもの。ローチェストの上には、見事な盆栽が置かれています。「カパオボニートレッド」という赤とオレンジ系の色が混ざっている石と、「グリーンマーブル」という緑色の大理石の2つの額が配されていたのですが、自然物である石の醸し出す文様の美しさに見入ってしまいました。日比さんから聞いた「石は何億年もかけてできたもの」という言葉がずしりと身体に染み入ってきたのです。
もうひとつは、ベッドのヘットボードの背面に「ストーンパレット」を配したもの。海岸に打ち寄せる波のような縞模様であることから「浪花石」と名づけられた石に「スクラブ」という凹凸のある加工を施してあって、豊かな表情が息づいています。
日比さんは会期中、お客さんを迎えて説明したそうですが、「多くの方が石に興味を持ってくださって嬉しかった」と笑顔を浮かべて語っていました。産声を上げたばかりの「ストーンパレット」ですが、これからの成長が楽しみと感じました。